機能性表示食品に指定されている対象食品のパッケージ表示
健康に関する表示がついた食品が身近になりましたが、その中でも機能性表示食品の広がりが注目されています。果たして、機能性表示食品とはどのような食品なのでしょうか。また、機能性表示食品には記載すべきものが定められています。
ここでは、機能性表示食品のパッケージに表示される内容について取り上げていきます。それをチェックして正しい商品選択をしましょう。
健康に関する表示がついた食品をコンビニエンスストアやスーパーなどで見かける機会が多くなりました。これらはテレビやインターネットなどで取り上げられることが増えていることから、人々の健康食品に関する関心が高まっています。
しかし、トクホや栄養機能食品など色々な健康食品があるので良く分からないという声も少なくありません。これまで健康維持や健康増進について役立つという表示が認められていたのは、特定保健用食品と栄養機能食品の2種類だけでした。
特定保健用食品というのは、健康の維持増進に役立つことが科学的に認められている食品のことで、消費者庁長官が食品ごとに表示を許可しています。また栄養機能食品とは、ミネラルやビタミンなど1日に必要な栄養成分を補給できる食品のことであり、国の規格基準を満たしていれば届出は不要です。
そして、それ以外の食品については、その食品が持つ機能について表示することができなかったのです。
特定保健用食品と栄養機能食品の制度は2001年から始まったのですが、この2種類だけでは消費者が選べる食品が限られるという声が挙がっていました。また、あいまいな表現でわかりにくいや、何に良いのか表記されていない、などといった不満の声も聞かれました。
このような背景から、2015年4月から機能性表示食品の制度が導入されました。
機能性表示食品は事前届け出制で、科学的根拠に基づいた機能性を表示することが可能な商品です。これは、食品の安全性及び機能性に関して一定の条件をクリアすることが求められます。また、消費者庁に届け出をすれば、事業者の責任でその機能性を表示することができます。
つまり、表示に関しては、国の審査を必要としません。
機能性表示食品は国の審査が不要なため、販売までの時間とコストを大幅にカットできる点が大きなメリットです。これが特定保健用食品と大きな違いであり、安く製造できることから商品の種類が増える可能性があります。
そのため、安いからという理由で機能性表示食品を選ぶ人が増えるかもしれません。
すると、様々な思い込みから間違った商品の選び方が広がる恐れがあります。そうならないためにも、保健機能食品の制度をしっかり理解して、商品に表示されているパッケージの内容を確認することが肝心です。
では機能性表示食品のパッケージには、どのような表示がなされているのかが気になるところです。まずパッケージの表には機能性表示食品の表記がなされていることが前提です。パッケージ主要な面に記載されていることが多いので、その有無をチェックすることが重要でしょう。
そして、その下には届出番号が記載されています。これは消費者庁のホームページ上で届出番号を入力すると、機能性や安全性に関する情報を確認することが可能です。届出番号とともに記載されているのが届出表示です。届出表示には、科学的根拠をもとにした機能性について、事業者が消費者庁に届け出た内容が書かれています。
具体的には、本品には○○が含まれているので、△△の機能がありますなどです。おなかの調子を整えます、肌の潤いを保ちますなど、具体的な身体の部位が記載された上で、健康的な体の維持が期待できることを表しています。
機能性表示食品では、パッケージの裏面にも様々な表示がしてあります。まずは機能性関与成分ですが、これは1日当たりの摂取目安量を摂取した場合、どのくらいの機能性関与成分が摂取できるかが表示されています。また、1日に摂取する量の目安や摂取方法、摂取上の注意事項も記載されています。
摂取の方法には水またはぬるま湯と一緒にお召し上がりください、注意事項には本品は多量摂取により疾病が治癒したりより健康が増進するものではありません、などが記載されています。これらを良く確認して、正しく機能性表示食品を利用することが肝心です。
そして、機能性表示食品は医薬品ではありませんという記載もパッケージの裏面に記載されています。何故なら、機能性表示食品は疾病の診断や治療、予防を目的とした商品ではないからです。そのため、持病がある人や薬剤を服用している人は、まず医師や薬剤師に相談すると良いかもしれません。
何故なら、機能性表示食品といつも飲んでいる薬とが相互作用をおこして、薬の効果に影響が出る可能性があるからです。機能性表示食品はあくまでも食品であることから、食事のバランスに関する記述もなされています。食生活は主食・主菜・副菜を基本に食事のバランスを、などと記載されることが多いです。
さらにパッケージの下側には事業者の連絡先も書かれています。
機能性表示食品に記載される表現は無制限ではありません。健康の維持や増進につながるような表現は認められていますが、病気の予防・診断・治療効果を暗示する表現は認められていません。また、健康の維持や増進の範疇を超えた意図的な健康の増強を主張する表現も認められていません。
具体的には風邪の予防や、花粉症が治りますなどです。機能性表示食品のような体に良い食品はあくまでも食品であって、医薬品のように病気の治療や予防を目的にしていないことを忘れてはいけません。またパッケージにも記載されている通り、たくさん摂取すればより多くの効果が期待できるものでもありません。
逆に過剰摂取は健康に悪い影響をもたらす恐れがあるので注意が必要です。バランスの良い食生活を心がけることが重要なので、機能性表示食品を利用するときには、まず自身の食生活を振り返ることから始めましょう。
特定保健用食品と栄養機能食品の制度に新たに加わった機能性表示食品。今後商品の種類が増える可能性がありますが、パッケージに表示される記載内容を理解することが肝心です。裏面にも定められた表示内容があるので、商品を手にするときは裏面もしっかりチェックしましょう。
そして、機能性表示食品は医薬品ではないため、認められない表現があることも知っておくと良いです。